生い繁る樅の森の暗紅色の円蓋に、私は帰ってゆく。
森は密やかに息づき、無言のうちに見つめあう。
樹幹の根は、おたがいにからみつき、もうもうと濡れた息を吐く。

なんとすばらしい! すべては生きながら、死んでいる。

(樅の森  エゴン*シーレ)

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